2030年ビジョン実現を見据え、

地域の皆さまとの共創に取り組み、
新たな価値創造のサイクルを構築してまいります

 

代表取締役 取締役会長(CEO)岸田裕之
拡大
代表取締役 取締役会長(CEO)岸田裕之

厳しい事業環境のなか、ガス・電力の販売は堅調に推移

 当期は、新型コロナウイルス感染症拡大とその長期化による経済活動の停滞に加え、ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした資源価格や原材料価格の高騰、さらに急激な円安など、先行きが不透明な状況が続きました。
 このような状況のなか、当期のガス販売状況は、ご家庭向けはエネルギー価格をはじめとする物価上昇への節約意識の高まりなどにより、前期に比べ販売量が減少しました。業務用と産業用のお客さまは、社会が新型コロナウイルス感染症への対応と経済活性化の両立をめざすなかで、徐々に経済の回復が見られ、前期に比べ販売量が増加しました。

 電力の販売状況は、当期末のお客さま数が2021年末に比べ約1万3千件増え、電力販売量も増加しました。お客さまに、より安定的に電気をお届けするため、富士市にある当社グループの発電設備の増設工事を2023年末の完成をめざし進めています。
 また、資源価格高騰に伴うガス料金および電気料金上昇への対策として、政府の電気・ガス価格激変緩和対策事業の補助金により、2023年2月検針分から10月検針分※までの料金を引き下げます。エネファームやコージェネレーション導入によるエネルギーの高度利用を促進し、お客さまと一緒になり省エネに取り組んでいくことにも注力してまいります。

持続可能な地域社会の実現に向けて

 「静岡ガスグループ2030年ビジョン」では、2022年から2030年までの9年間を「ホップ」「ステップ」「ジャンプ」の3つのフェーズに分けて推進し、地域の皆さまとの共創を通じて、新たな価値創造のサイクルを構築していくことを打ち出しました。また、都市ガス事業が約9割を占める現在のポートフォリオを、電力・再生可能エネルギーや海外、くらしサービスなどの新規事業が都市ガス事業と同等の収益を稼ぎ出す、より強靱な収益構造へと変革し、2030年には連結経常利益130億円の達成をめざします。

 2023年2月に公表した「2023年-2025年中期経営計画」最終年度である2025年は、2030年ビジョンの「ステップ」フェーズ初年度となります。ビジョン実現に向けて2025年での当社グループのあるべき姿を想定し、中期経営計画に織り込みました。
 グループの基盤となる都市ガス事業では継続的な成長を図りつつ、LPG事業や電力事業での顧客基盤の拡大、リアル接点とデジタル接点の融合したくらしサービス事業やエンジニアリングサービス事業の展開を進めていきます。今後の成長分野と位置付ける太陽光発電など再生可能エネルギーの開発、新たにインドに進出した海外事業の強化と拡大など、各事業の戦略・施策を確実に遂行することにより、さらなる成長をめざします。
 これらを推進するための投資は、中期経営計画の3年間に毎年200億円程度の投資を計画しています。そのうちの約8割を都市ガス事業の基盤拡大と再生可能エネルギーや海外事業などの新規成長分野に振り向けます。もちろん、投資判断は、しっかりとリスクを評価した上で行っていきます。グループの成長を支える人材への投資も拡充します。人材開発や人材育成プログラムの高度化、定年延長を含む人事制度の見直しやリスキリング教育の導入など、多彩な取り組みを通じて人的基盤の一層の強化を図ってまいります。

着実な利益成長を通じて企業価値の最大化を追求

 2030年ビジョンのコンセプトは、地域の行政、企業、個人のお客さまと緊密に連携し、地域のさまざまな課題に最適なソリューションを発案していく「地域共創」です。当社グループが、地域の課題解決に取り組む相手として選ばれるためには、都市ガス事業で長年にわたり築いた信頼関係をもとに、さらに強い信頼を得ていくことが必要であり、お客さまの課題解決に真摯に取り組んでいきます。
 2023年も先行き不透明な経営環境が継続すると思われます。こうしたなか当社グループは、お客さまとのつながりと挑戦を重んじる企業風土を強みとして、2030年ビジョンの目標達成に向けて積極的に取り組んでいきます。そして、ステークホルダーの皆さまから信頼され、期待される企業グループの確立をめざすとともに、着実な利益成長を通じて企業価値の最大化を図っていく方針です。株主の皆さまにはこれまで同様のご理解とご支援を賜りたく心よりお願い申し上げます。