新ブランドスローガンに込めた想いのもと
持続的成長と地域社会への貢献に挑戦し続けます

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- 代表取締役 社長執行役員(COO) 松本尚武
2025年上期の経営環境について教えてください。
2025年上期のエネルギー業界を取り巻く外部環境は、比較的安定していました。原油価格は上期を通じて全体的に下落傾向にあり、為替も円安基調から若干の円高に転じたとはいえ大きな変動は見られず、事業上のリスクとしては比較的軽微だったと捉えています。一方、国際政治の動向、とりわけ米国トランプ政権の政策は製造業を中心とする事業者に大きな影響を及ぼす可能性があり、当社グループの事業環境を検討する上でも極めて重要な視点です。今後の動向については、慎重に見極めていきます。
2025年上期の業績について教えてください。
都市ガス事業では、家庭用と業務用は気温が平年より低めに推移したことなどにより販売量が前年同期を上回りました。工業用も前年に開拓したお客さまの通年稼働などにより販売量が前年同期を上回りましたが、卸売りが減少したことから、全体では前年同期を下回りました。
電力事業では、使用中戸数が5月に10万件を突破するなど着実に増えており、販売量が前年同期を上回りました。都市ガスもしくはLPガスをご契約いただいているお客さま約40万件の内、その4分の1にあたるお客さまが電力もご契約いただいていることは、当社グループがお客さまと信頼関係を築いてきた結果であると自負しています。
上期決算につきましては、都市ガス販売量の減少に加え、原料費調整制度によるガス販売単価の下方調整等により、売上高が減少しました。経常利益は、電力需給調整市場での収益減や為替差損等により減少し、結果として前年同期と比べ減収減益となりました。
第7次エネルギー基本計画が閣議決定されましたが、影響について教えてください。
本年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画において、天然ガスは、電力供給源としての原子力や再生可能エネルギーと並び、カーボンニュートラルに向かうトランジション(移行)期のみならず、カーボンニュートラル実現後においても重要な役割を果たすべきエネルギーとして、明確に位置付けられました。これにより、お客さまの中でも天然ガスを現実的な熱エネルギーの選択肢として再評価する動きが加速していると感じています。当社グループにおいてもこのような動きが追い風となり、天然ガス需要拡大への新たな期待が高まっています。
今後、エネルギー業界においては、カーボンニュートラルの実現やグリーントランスフォーメーション(GX)の推進が、これまで以上に重要な課題として取り組まなければなりません。当社グループはエネファームやガスコージェネレーションなどエネルギー高度利用による天然ガスのさらなる普及と再生可能エネルギー開発の推進を両輪として、地域における低炭素化をリードするとともにカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めていきます。
海外事業の状況と地域企業との連携について教えてください。
上期における最も大きな動きは、米国におけるシェールガス権益の取得です。本年、米国に設立した現地法人「SHIZUOKA GAS AMERICA CO.」が、東京ガスグループ会社の「TG Eagle Ford Resources LP」より、米国のシェールガス開発事業の権益を取得し、天然ガスの上流開発事業に参入しました。これにより当社グループは、ガスバリューチェーンの安定化、ナチュラルヘッジを通じた供給の信頼性向上を目指します。
アジアでは、引き続きインドネシアとタイでの都市ガス配給事業や再生可能エネルギー事業等を拡大するほか、ベトナムでは太陽光発電案件への参画を進めています。インドでもバイオガス事業への参画に続き、現地法人「SHIZUOKA GAS INDIA PRIVATE LIMITED」を設立し、天然ガスや再生可能エネルギー事業の展開を目指しています。
国内では、地元企業やスタートアップ企業との業務・資本提携を進めてきました。7月には、ハウジング事業の強化に向けて静岡県西部地区を中心に事業展開するグッドリビング株式会社の全株式を取得し、新築住宅・リフォーム・リノベーションから不動産取引までを一貫してカバーする体制を構築しました。陸上養殖システムの設計や開発を手がけるスタートアップ企業の株式会社AR様に出資して魚の陸上養殖事業にも参入しました。今後も他事業者との連携により、地域のくらしを支える新たな価値を創出していきます。
新ブランドスローガンに込めた想いを聞かせてください。
このたび制定した新ブランドスローガン「湧く想い、沸かせる未来。」には、企業として新たな事業領域・成長分野に前向きに挑戦する意志と情熱を込めました。「湧く想い」は社員全員が“わくわく”しながら0から1を生み出すこと、「沸かせる未来」はその思いを1から100にして快適で豊かな社会を築く原動力となることを意味しています。新スローガンは、社員の成長意欲を引き出すと同時に、お客さまやステークホルダーの皆さまに当社グループのさらなる進化に対する決意を示すものです。
統合報告書を作成された目的について教えてください。
本年6月、財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組みも含めて、企業価値を総合的に伝える必要があると考え、統合報告書を作成しました。当社グループの中長期的な価値創造ストーリーを分かりやすくお伝えできる内容に仕上がりました。統合報告書を通じて、当社グループの存在意義を再確認するとともに、事業領域を拡大していく中で、目指すべき姿を示していきます。
最後に、株主の皆さまへのメッセージをお願いします。
当社グループが目指すのは、持続可能な企業成長と株主価値の最大化です。そのために、ROE向上に資する成長投資を継続的に行い、同時に適切な財務レバレッジを活用することで、財務基盤を保ちながら効率的な経営を実現してまいります。また、IR・SR活動を充実させ、当社グループの成長ストーリーを株主や投資家の皆さまに丁寧に説明し、さらなるご理解と信頼を得られるよう努めてまいります。
これからも株主の皆さまには引き続きご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

